三菱FTO 〜かなりきてーる、かなり感じてーるはずだった・・・〜

 

 三菱が作るクーペはあんまり売れた試しがない。
 三菱独特のアクの強さがそうさせるのか、発売時期が排ガス規制、ハイソカーブーム、平成大不況などにオーバーラップしてしまった不運のためなのかは私にもわからない。

 そんな不運な三菱のスポーティークーペの中でもたぶんもっとも不遇なクルマを今回は紹介しよう。
 
彼の名は三菱FTO。


三菱FTO

 排ガス規制前の1970年代、三菱は2つのクーペを世に送り出している。
 それがコルトギャランGTOとギャランクーペFTOである。


三菱コルトギャランGTO                  三菱ギャランクーペFTO

 この名前でピンと来た方も多いだろう。
 三菱は現在発売しているクーペにおいて、名前を復活させているのだ。
 また、関係もそのままにGTOが兄貴分である。
 特にギャランGTOはアメリカンクーペの雄であるフォードマスタングを模範としたクーペであった。

 その後の排ガス規制により、ともに発売中止の憂き目に遭い、その後発売したスタリオンも北米市場ではそこそこ売れたが日本ではハイソカーブームと重なり、マイナーな存在となっていた。
 しかし、セダンだけでは心許ない、また、他社が独占的存在になっているスポーティークーペ市場に再び参入したい、そうすればパジェロで築きはじめていた4輪駆動車市場とともに三菱のシェアが広がる・・・、そう考えればこそ、三菱はクーペへの再参入を狙っていたに違いない。

 そして、1980年代後半から日本に空前の好景気が襲った。
 そう、ここで何度も出てきている重要なキーワード、
「バブル景気」である。
 この時、各メーカーは開発費を湯水のように使い、モーターショーに出てくるコンセプトカーか?と思えてくるようなクルマまで市場へと投入していった。
 また、この時、一番活況を呈したのは間違いなく
スポーティーカー市場である。
 もともと、自動車メーカーに入った技術者のほとんどはクルマ好きなのである。
 また、フェラーリやポルシェなどに憧れを持っていた連中も多い。
 当然、彼らはスポーツカー好きが多かったりする。
 彼らはここぞとばかり、ハイパワーなスポーツカーたちを世に送り出していった。

 ソアラ、セリカ、シルビア、スカイライン、フェアレディZ、プレリュード、RX-7などのビックネームたちが次々とフルモデルチェンジ、さらにはかつての名車のシンボルであったスカイラインGT-Rの復活、衝撃的なホンダNSXの登場、温故知新の妙を味あわせてくれたユーノスロードスターの発売など、今までのスポーティーカーが一気に色褪せて見えてくるかのような衝撃が我々を襲ったのだ。

そして、それを黙って見ている三菱ではない!

 スタリオンだけでこれ以上の展開が無理だと悟った三菱は急遽、新型スポーティークーペの開発に着手する。

 そして、まず、ビックネームであるGTOを復活!
 三菱らしさを前面に押し出したアクの強さと先進技術の数々を搭載したマシンはまさに三菱らしいスポーティークーペだ。
 これでソアラ、スープラ、スカイライン、フェアレディZ、RX-7、NSXに対する備えは完了した。

 あとは、念願であった
2000ccスポーティークーペ市場への参入を目指すのみ!
 ここで三菱はかつてもう一つのビックネームであったFTOの復活を目指した。

 本来なら三菱は得意とするターボエンジン搭載を考えるところだが、すでに次期ギャランやディアマンテでの新開発V6エンジンが主流になっている、ターボエンジンではエクリプス、ランサーなどとの差別化が難しいことから搭載エンジンはV6を中心にすることで決定される。
 しかし、これだけではインパクトに欠ける!
 三菱としては新規車種なだけにインパクトが欲しかった。

 そこで三菱はセミATという技術に手をかけた。
 INVECS-2というATベースの
4速セミATシステムをFTOに搭載することにした。
 これは日本国内で初めてのことであり、インパクトとしては十分なものがある。
 でも、同時期に発売した
新型ディアマンテで5速セミATが搭載され、「三菱はマイナー後にでも5速にするんだろうな〜。」と私は三菱の汚さを感じてしまった。(^^;)
 事実、
マイナー後には5速化されている。(笑)
 しかし、この試み自体は良かったと思っている。
 普段は普通にAT、楽しみたい時はマニュアルシフトというのは一粒で二度美味しい存在だ。
 これが日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞の原動力になったことは言うまでもない。
 さらに三菱は新開発V6エンジンに可変バルブタイミング機構(MIVEC)を搭載。
 2Lで200馬力という出力を発生させており、結果的に後発の利点を生かして、走行性能はかなり煮詰められており、インテRが発売されるまでの間、
筑波サーキットでのFF最速タイムはFTOが保持していた。
 
これは事実なため、いくらプレリュードが最速だと思っている私でも認めざるを得ない。(爆)
 でも、それでも俺はプレリュードが最速だと思っているが・・・(^^;)


 話は戻すが、このような数々の新技術を独特の三菱らしいデザイン(フィアットクーペに似ているっつう話もあるが)で包み込んだFTOは発売され、見事、その年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞することとなった。

しかし、FTOはまたもや時代に翻弄される・・・

 突然のバブル崩壊、平成大不況が日本を襲ったのだ。
 また、その頃、すでにスポーティーカーが人気を落としはじめ、その代わりにワゴン&1BOXによるRVブームが訪れようとしていたため、FTOはその走行性能の高さすらほとんど知られることなく、売り上げ不振にあえぐのであった。

 そして、現在もまだスポーツカー冬の時代が続いている。
 まあ、近頃はアルテッツァが引き金となって、スポーツセダンブームが訪れようとしているし、もうそろそろクーペもシルビアが引き金になって復活してくるかな?と思える状況にはなってきたが・・・
 たぶん、まだ、しばらくかかるだろう・・・

 また、売り上げ不振に悩む三菱はGTOとFTOを発売中止にし、ランサーエボリューションのみをスポーツ路線に置くという噂もちらほらと聞こえてくる。

「この道はいつか来た道・・・、まさにデジャブ〜」(^^;)

 結局、1970年代と同じことやるんかい?と突っ込みを入れたくなる私である。
 思うに売り上げ不振に悩まなくても良いメーカーは日本ではトヨタだけだ。
 いや、トヨタですら、カローラ離れなどで密かに苦しんでいる。

 しかし、そのメーカー毎に絶対に苦しい時期というのは存在している訳でそういう苦しい時期にも数々のテコ入れをしていった結果、突然、春がやってきたりするものだ。
 現在、トヨタとともに勝ち組に入っているホンダですら、実は三菱がパジェロで我が世の春を謳歌していた頃、実は売り上げ不振だったりしたのだ。(売れていたのはアコードインスパイアだけという状態。これは辛いぞ。(^-^;)
 しかし、そういう時期にあってもある程度のラインナップは確保しておくべきだと思う。
 そうしなければ、三菱にはいつまで経ってもスポーティークーペというのは根付かないだろう・・・

 

そう、時代は回るのだから・・・


P.S

 〜6月24日追記〜
 先日、サーキットの帰り道で三菱ディーラーの横を通りかかったら、「さよならGTO、FTOセール」なるものをやってました。
 結局、無くなるのね〜と残念に思ってしまいました。
 FTOも良いクルマだったんですけどね・・・。

 結局のところはカッコワルイのとミニバンブーム、FRドリフトブームが効いているようです。
 冥福をお祈りいたします。(-人-)

 

 

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